<   2006年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ワイルドサイドじゃ無いほうの側を歩きたいんです

 頭を空っぽにする時間、と称して、やたらとシアトル系コーヒーショップ等に足を運んでは一服する私ですが、実際は、その正反対の時間の過ごし方をしてしまう場合が多いのが現状です。

 昨日もそうでした。窓の外のすっかり深緑色に茂った木々が雨に濡れるのを眺め、一杯のコーヒーと共に至福の時を過ごしていた私のとなりに、小洒落た大学生の男女が数人、座り、盛り上がっておしゃべりを始めました。邪気の無さそうな、楽しげな様子の人々で、最初は、全く気にも止めてなかったんですが、ふと気がつけば、彼らは、「○○はうざい」「ああいう女にはかかわらない方が良い」と皆で心を一つにして誰かを中傷しています。不愉快に思いつつも、聞き流せなくなってしまうわが身を呪うひとときです。こうなったら仕方ないです。この際、積極的に聞耳を立ててしまえ、と、注意を傾けてますと、その○○っていう女の子は、誰それを追いかけ回して挙げ句にビールをぶっかけた、とか何とか、で、簡単にいえば、「○○は、振られてばかりで、ストレスがたまり、危険な振る舞いをするんで怖え、やっぱ彼女には下手に優しくしちゃいけない」という事らしいです。
 切ないです。そうやって、寂しさゆえにウザくなる→皆で心を一つにして、避ける→ますます孤立し→余計にウザい人になる。
ウザさの雪だるま状態を間のあたりにして暗澹としてしまいます。。全くもって、うざいのは、そんな話しを丸テーブルで声高に喋ってるあなた方の方だ!、と言いたいところですが、勿論、一番うざいのは、文庫本を目の前に広げていながら、彼らの話題で頭を占領させてる私自身、である事は言うまでもないです。今や私の頭のなかは、その、見知らぬ、追いつめられた、ガラスのように壊れやすい孤独な人の事でいっぱいになり、ああ、出来ることなら私で良ければ、友達になりたい。。。と暴走してしまいます。だいたい、そのブチ切れぶりから想像すると、なんか私なんかと同じ匂いのする人物ではあります。
 同時に、そんな風に、「ちょっと誰かにビールぶっかけたくらいで、人を奇人扱いし、鼻つまみものにする連中」こそが、世の中の大多数なのだ、と思うと、いったいどうやって、この先、他人と折り合っていけば良いのだろうか、と頭を抱えてしまいます。しかし、ここで、そんな奴等には唾でも吐きかけてやる、と戦闘体制に入ってしまっては身も蓋もありません。愛と平和への歩みを自ら止めてはいけない、と、ここはふんばって、その大多数の人達を知ろうとする、努力を続けよう。ととりあえずは、甚だ中途半端な決意を新たにする、私でした。そもそも、もし仮に、私がその件の彼女と、本当に友達になっちゃった、としたら、それは、残念だけど、うざい人同士であり(だって良くは覚えてないけど、多分私、誰かにお酒かなんかぶっかけた事、あるような気がするし)似たもの同士で、互いに慰めあうばかりでは、あんまり建設的な関係とは言えません。友達には勿論なりたいけどやっぱ、出来れば、自分自身、大多数の側になってから、が最も望ましい事ではあります。(ここまで、全然知らない人に勝手に友情を覚える自分の妄想癖こそ、唾棄したくなる、部分ではあります)

 とここまで書いてふと、思い出した事があります。だいぶ前の事だけど、実は、わたしも、何を隠そう、ビールをぶっかけられた事があるっていう事です。
 それは、ライブのインターバルで、ほろよい気分のお客さんのテーブルで、何かよもやま話しをしてた時でしたが、突如、そのお客さんの奥さん、と思わしき人が、尋常ならぬ様子で店に入ってきて、我々二人にグラスの中身をぶちまけたのです。ここで、改めて書かずとも、誰もそんな想像しないとは思いますが、そのお客さんと私は、勿論、特別な関係だったわけじゃなくて、奥さんだって、そんなあらぬ想像をしたわけじゃない事は、間違いないです。(つまんないです。)恐らく、家庭内において、非常に深刻な問題が色々あって、にも関わらず、御主人の帰りが遅く、ひとり悩んでたら、なんかの拍子にそのライブバーにご主人がいる、と言う情報を仕入れ、家はこんなに大変なのに、呑気にこんな場所でボサノヴァとか聞きつつ酔っぱらってるご主人を見て許せなかったのでしょう。で、一緒に飲んでる私にもムカッ腹が立った、という訳です。奥さんの美しい顔がふるえています。勿論、現在、一家の主婦になって、家庭内での悩みの堪えない私は、その奥さんへの親しみを禁じ得ません。で、その時も私は珍しく、わりかし気分が良かったんで、その出来事はそんなに不快じゃ無かったんだけど、然し、何と、信じられないことに、少し、ではありますが、奥さんの事、うざいな、と感じたのです!恐ろしい事に。勿論、その時点では、自分も、奥さんと似たような行動をする人間である、なんて考えもしてません。恐らくは、「この濡れた状態で次のステージをやらねばならない」のに困り果て、「私のせいじゃないのに」と思ったように思います。だからといって、「きれいだけど怖い人だな」だなどと奥さんを批判するなんて、全く図々しいにも程があります。単なる事故です。ビール憎んで人憎まず。のはずなのに、わかりやすく、直接的に事故に関わった人物を心の中でうざいと決めつける自分が許せない。そうです。本当の敵は半ば大多数に片足つっこんでる自分をゆるせぬ自分です。そのへんの自分を許せるようになって、初めて、本当に、大多数の連中、と手を取り合えそうです。勿論、孤独な彼女みたいな人とも、良い友達になれる、そんな日が来れば。と願わずにいられません。
[PR]
by michaelist | 2006-07-18 22:35